「乾性油の力は偉大です」

西洋絵画の巨匠たちが残してくれた堅牢で透明感のある油彩画は、どのような画用液で描かれ
ていたのでしょうか。近年の科学調査により。今では多くのことが明らかになっています。
例えば、レンブラントの油彩画には樹脂類は使われず、乾性油(主にリンシードオイル)が
展色剤であったということを、英国ロンドンのナショナルギャラリーは実証しています。
(National Gallery London: National gallery Technical Bulletin. Vol.2, 1978)

しかし、生の乾性油のままでは乾燥が遅く、画面上で流れやすい。それらの使いにくさをカバー
するために、リンシードオイルを密陀僧(みつだそう)=一酸化鉛と共に熱を加えながら重合
させることにより、描画に最適な加工乾性油を作りました。

  それが、この「ブラックオイル」です。

絵具の心地よい伸び、そしてしっとりと吸い付く様な質感の油彩画が、この「ブラックオイル」
によって現代でも再現することができるようになります。また、乾き具合も最適なこの画用液
は、グレーズ技法やウェットインウェット技法等を生かした西洋の古典絵画的な表現だけでな
く、現代風のプリマ描きにも最適な画用液として、お薦めいたします。


(左図) (右図)
グリザイユの下層描きでは、基本的には油絵具のみで描くことで、絵具層に厚みが出る。筆触の伸びを得たい時は、ブラックオイルを少量加えるのも効果的。グリザイユでは、グレーズによる上層彩色を考慮して、全体的に明るめにまとめる。 左図の下層描きの人物部分は、全体にブラックオイルを手のひらで伸ばせる程度に塗布。肌身部分は、バーミリオンとイエローオーカーを画面の中で軟筆でからめる(ウェットインウェット)。この彩色層の暖色系絵具は、下層描き(グリザイユ)のグレーを寒色系として生かせるように、透明または半透明の状態で用いる。
下層の明暗表現を上層彩色によって、寒暖色のハーモニーに転換する。
ハイライトを除く最明部にはホワイトをからめ、不透明なパートとし、他の透明彩色部分と対比させる。人物の背景は、各色にブラックオイルをわずかに加え、不透明彩色。輪郭はブラックオイルを増加し、線描き。
監修 人物画制作/©斎藤國靖

■上段の、タッチが残るプリマ描き(直描き)は、ブラックオイルを使うことで乾燥が早くなり、絵具の伸びや作業性がよくなります。 ■下地にブラックオイルを塗ることで、下層のスフマート(輪郭線を使わず、濃淡のぼかしで陰影を表現)が滑らかに行えます。
■途中で絵具を拭き取ることができ、彩色のやり直しができます。 ■上層の細いストロークは、ブラックオイルを絵具に混ぜることで、伸びの良い、均一で長い線が描けます。
■下段のウェットインウェットは、下層にブラックオイルを塗り、上層に数色の絵具を混ぜ合わせることで、自在な混色ができます。

[特長]

ブラックオイルの乾燥時間は約24時間。(※)
制作中は乾かず自由に絵具を伸ばすことができますが、翌日には指触乾燥するので、油彩なのにリズミカルに制作ができます。薄塗りを重ねる描き方に適しています。

※温度、湿度により、乾燥時間は異なります。
55ml 710円(本体価格)
250ml 2,500円(本体価格)
注意)●鉛化合物を含みます。●一酸化鉛は加工時に変化しており、製品中には含まれておりません。●製品中に白い沈殿物が発生したり、色が薄くなることがありますが、特有の性質のものであり、使用に問題ありません。●火気の付近で使用しないでください。●下水道に流さないでください。●乾性油やシッカチーフが付着した布や紙類を放置しておくと発火の危険性があります。廃棄の際は、焼却するか、水を入れたビニール袋に入れ密封して捨ててください。●子供の手の届かないところに保管すること。

注意! ブラックオイルを多量に拭き取った「ティッシュ」「紙類」
      をゴミ箱などに入れて放置すると発火の危険性があり
      ます。ゴミ箱に水を入れておくか、なるべく布などで拭き
      取ってから水をかけておいてください。

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2018.04